江戸は星空が美しい町だった

サイエンス

東京に住んでいると満点の星空からは縁遠いですね。星空が見えないことが当たり前になっていたのですが、コズミックフロントを見て、明かりの少ない江戸時代は、星空が見えることが当たり前だったという事実に気付き、衝撃を受けました。

それを教えてくれるのが、数々の浮世絵。

特に有名なものは、葛飾応為の「夜桜美人図」です。原作品を見たことがないのですが、星の1つ1つの色が異なるそうです。

星は、温度が高いものほど青白く(オリオン座のリゲルなど)、温度が低いものほど赤く(さそり座のアンタレスなど)見えることが知られていますが、それらの色の違いがはっきりわかるほど、江戸では鮮明に星が見えていたのですね。

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葛飾応為「夜桜美人図」

とても美しい絵ですね (*゚ρ゚) ボー.

1人の女性が、夜中、灯籠の明かりをつかって、歌を書き付けているようですね。灯籠の明かりといっても、白熱灯やLEDほど明るくないでしょう。しかし当時は、満点の星空が見えるほどに真っ暗な夜中、灯籠の明かりがもっとも明るい照明だったのでしょう。どこにでも街灯がある現代の東京では、イメージしにくい風情です。

同じ場所で、ほんの150年前には、毎日満点の星空が見えていた。そう思うと、なんだか不思議な気がします。

ヒトの祖先は500万年とか600万年前に誕生したとされていますが、それから150年前までは、満点の星空は、珍しいものではなかったのです。約500万年の間、人間にとって当たり前だったものが、ここ150年間の人は経験をしていない。現代の東京に住む人々は、「夜空に星がない」という、歴史上、極めて奇妙な体験をしているのでしょうね。

ちなみに、僕が覚えている中で驚くほど星空が美しいなと感じたのは、日本では長野県阿智村で、海外ではアメリカ西海岸のデスバレー国立公園です。

デスバレーでは、あさひを観ようとまだ真っ暗な早朝に出発したのですが、ふと空を見上げると、夜空が空を埋め尽くしていたんです。久しぶりに鳥肌が立ちましたよ。デスバレーという公園が、日本でいう長野県と同じくらいの大きさだそうですが、だだっぴろく、何もないところだと、ああもたくさんの星が見えるんですね。

人間のDNAにとっては、夜空に星がある方が自然に感じられるような気もします。

かつてなく、星空が見たい!と思うようになりました。

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